沖縄一周航海記、伊平屋島前泊港・出港&帰港、7月4日

1 午前

06:00 皆起きだす。皆様、そのお年頃なのでしょう。
風は強くなったり、落ち着いたり。強くなったときは、ダメかと思い、弱くなったときは、いけそうかなと思う。雲の流れは速い。小雨は降っている。今にも本降りそうである。
朝食は昨日の銀シャリの残りとフランスパンの残り、卵焼きである。
午前中に船内清掃、我らがたまり場、フェリー待合室で、パソコン操作。午後にでも、出港できるか。


昼食はいつもの伊平屋ドライブインである。メニューは各自バラバラ。味噌汁定食、三枚肉そば、この男はチャンポンである。チャンポンと言えば中華そばに魚介類等をチャンポン炒めであるが、沖縄ではあんかけ丼である。注文すると店員さんがその旨確認してくる。写真は食事風景とチャンポン。



2 出港

昼食後、伊是名島沖田港に向けて 13:00 出港する。風はやや強く、時折水しぶきをかぶる。出港後 30分くらいした時、ややゴム臭いにおいがした。排気ガスのにおいかなとも思ったがおかしい。
松船長が船内に飛び込み、エンジンルームを開ける。
ドーっと煙が噴き出す。ありゃー・・・・・。( 下の写真、煙が見える )


エンジンのL字型ゴムホース (インペラからエンジンに海水を送るゴムホース、L字型をしている) の破断である。
直ちにエンジン停止、帆走に切り替える。
伊平屋島前泊港に帰ることにする。
10m/sec 前後の南の風、帆走で入港はできるが、出港時の浮桟橋に接岸するのはかなり難しい。何とかエンジンを直したい。

3 エンジン修理

松船長は、直ちに新品のL字型ゴムホースを取り出す。
実は、2016 年、Lady Luck を東京から沖縄に回航するとき、途中でこのL字型ゴムホースが破断したのである。船内は水浸しになった。破断部分がエンジン取り付け部分であるため、破断部分を切り取り、再度取り付けた。港に入り、ヤンマーから新品のL字型ゴムホースを取り寄せた。その部品が船内にあった。


古いL字型ゴムホースと破断部分。上のゴムの破片は東京から沖縄に回航した時に破断した断片である。下の写真は新旧両L字型ゴムホースである。


松船長はエンジンが熱々なのをものともせず、悪戦苦闘の末、L型ゴムホースを取り付けた。ここで、祝杯の乾杯といきたいところである。

4 エンジン始動

さあ、エンジンををかけて帰ろう。エンジンキー ON。
エンジンは何も言わない。アレー レレレ どうした。
そんなバカな。

船にはバッテリーからインバーターを経由して、携帯、パソコン、カメラ等充電器が鈴なりにぶら下がっている。そうか。これを切るのを忘れたために、バッテリーが過放電をしたためである。しかし、せいぜい 30 分位であるのに。おかしい。
さあ、どうする。

そうか、2GMエンジンは手動で始動できるはずである。
クランクを探す。あった。
手動の始動は、デコンプで圧縮圧力を抜いて、クランクでエンジンを回転させ、ある程度回転数が上がったところで、デコンプを切れば始動するはずである。
駄目である。かからない。圧縮をかけるとそこで止まってしまう。
誰がやっても駄目である。
ああ神様、仏様。
後で、漁師さんに聞くと、若くないと駄目だと言う。我々(年配の漁師さん)でも駄目だという。夢の島マリーナで講習会のデモンストレーションをやった時は、かかったのに。ああ・・・・。
どうしようもないので、前泊港の広い岸壁に接岸し、エンジンを始動して、係留していた浮桟橋に接岸するか、漁協に頼んで漁船で曳航し浮桟橋に接岸するか。
漁協の担当者(今回、一貫して親切に対応してくれた漁協の人)に電話を入れる。

帆走で前泊港に入港し、岸壁に接岸させようとするが、風のためなかなか接岸できない。2 ~ 3 回着岸を試みていると、漁師さんの船が出てきた。意思の疎通がなかなか難しい。我々は、曳航するなら小さな船溜まりの浮桟橋にと思っていたのだか、漁師さんは岸壁接岸させるようである。
結局、ヒイヒイ言いながら何とか接岸できた。岸壁に階段部分があり、乗り降りし易いように、ロープで引っ張りそこに移動した。漁協の人がバッテリーを、漁師さんが発泡スチロールのフェンダーを貸してくれた。

貸してくれたバッテリーを繋ぎ、エンジンを始動する。
離岸しようとするが、強風のため、なかなか難しい。
後進で離岸しようとしたがどうしてもだめである。
岸壁を押して前進で何とか離岸した。
細い航路を通り、船溜まりの浮桟橋に接岸する。
航行距離 6.18 NM、航行時間 2 h 05 min 、平均速度 2.9 kt である。


上の航跡で行き来しているのはエンジン修復の時間を稼ぐためである。

5 船内整理

浮桟橋に接岸し、借りたバッテリーはお返しし、エンジンを 2 時間ほど回す。その間にエンジンから噴き出した海水を取り除き作業をした。


床上までは浸水していないが、中型バケツに 30 ~ 40 杯の海水を組みだした。このバケツの水は油分を含んでいるため、海面に捨てるわけにはゆかない。バケツを陸上の砂地を探して捨てた。これが大変である。

6 エンジン点検

船内の排水が終わり、エンジンの点検に移る。次の項目の点検、調整を行う。
(1) L字型ゴムホース
エンジンに海水を供給する部分の接合部から水漏れ。接合をやり直し。
(2) 燃料フィルター
燃料が燃料フィルター部分から滲んでいる。増し締め。
(3) エンジンとエルボをれんけつするゴムホースの両端から水が滲んでいる。増し締め。

これで一応の点検は終了したが、安田漁港で汲みだしたエンジンの海水漏れの量は多すぎ。バッテリーの充電を兼ねてエンジンを動かして点検を続ける。
ヤヤヤヤ。エルボから水が噴き出している。よく調べるとかなりの量が噴出している。これがエンジンの水漏れの原因か。
松船長が水漏れ補修用シール材を持ち出してきた。Lady Luck は何でも持つている。エルボの水漏れ部分にたっぷりとシールする。
今回のエンジンの点検はここで終了し、明日再チェックすることとした。

7 天候

天気予報が思わしくない。松船長は 5 日、 6 日は、ここ伊平屋島前泊港に停泊することを決断する。

8 夕食

夕食が遅くなってしまった。今夜の夕食は銀飯、ツナと玉ねぎとジャガイモの炒め物。サバ缶と冷たい飲み物である。